大田市温泉津町福光は島根県の中央部大田市街の南西約20kmの日本海に臨む平坦地に位置する。江戸時代には福光本領といい、福光村は明治8年に福光本領・福光林村・福光下村が合併して成立した村である。 福光本領は江戸時代を通じて幕府領大森代官所支配地、波積組に属していた。枝村に今浦・湊があり、銀山領22ヶ浦七歩の内に数えられ、漁業や廻船を、農村部では農間に福光石の切り出しや加工が営まれていた。 天保郷帳では、福光本領・湊・今浦の三ヶ村と記載されていて、今浦には舟表番所があった。 元禄10年(1697)の石見銀山領村々覚によると、家数は本家73・門屋59・人数623・馬9・牛27・威鉄砲1挺がある。享保5年(1720)の村明細帳によると家数140・人数544・牛24・馬3。文政2年(1819)の家数267・人数1,523・牛49とある。 明治8年に合併して福光村になった後、日本型船8艘・漁船72艘を所有しているので、漁業集落として繁栄していたと思われる。 訪ねたのは8月のお盆の最中で、町並みの裏側の海岸で多くの方が海水浴を楽しんでおられた。今でも今浦や湊の地名が残り港などを連想するが、港らしいものがない。でも集落を歩くと漁村を思わせる佇まいであるのは、古くから受け継がれた名残だろう。また、近くの漁港を基地とされているのだろうと思う。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 1988 |
温泉津福光の町並 |
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