松江市島根町野波は島根県の島根半島の最北端、日本海に臨んだ所に位置する。大きく入り込んだ良港を持つ半農半漁集落である。 江戸時代は松江藩領。「雲陽大数録」では490石余。「郡村誌」によると、家数305・人数1,480。民業は農業188・漁業60・工業35・商業5・薪炭専従者2・雑業9、牛113・荷船114・漁船88と農業を主体とした漁村であった。漁業ではブリの一本釣・地引網、特にブリの大敷網は優良漁場として知られていた。 物産として鯛・アワビ・ナマコ・スルメ・海苔・和布などがあり、幕府財政を支えた長崎俵物(イリナマコ・ホシアワビ・フカヒレの高級3品)の生産地であった。 また、明治末期から昭和初期にかけて養蚕業が格別盛況であった。 今町並みを歩くと、比較的広い道路に沿って赤屋根の民家が並んでいる。漁師町にしてはゆったりした土地に比較的大きな家屋が建ち並び、漁師町らしからぬ様子である。一般の漁師町のように迷路のような道に、軒を接して密集して建っていないのは、明治末期から盛業だった大型家屋が必要な養蚕のためかも知れない。町並みの印象としては潤っていた漁師町と見られる。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和54年 島根県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1995年 |
島根町野波の町並 |
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