出雲市大社町宇龍は島根半島の北西端、日御崎の東に位置し、北は日本海に臨み、古代より天然の良港として栄え「出雲国風土記」にも宇礼保浦と見える。 中世には日本各国の通商船が出入りし繁栄していた。通商港としての宇龍に関する最も古い資料は正長元年(1428)頃、出雲大社国造が大勢を率いて日御崎に向かったと云う記載がある。永禄6年(1563)に宇龍に出入りする舟は、因州舟・但州舟・北国舟・唐舟などがあった。 近世初頭までは斐伊川は出雲市から西流して杵築から日本海に流れていたので、斐伊川上流の鉄は川船によって杵築に運ばれ、宇龍から鉄が積出されていた。 鉄の積出しで賑わった宇龍港も斐伊川の流路が宍道湖になり、鉄の積出港でなくなったが、出雲西部の主要貿易港、風待ちの良港として栄えた。 江戸期は松江藩領で、明治初年の「皇国地誌」によると家数152・人数695・漁船118とあり、宇龍港には年間500艘が出入りしていた。職業構成は漁業130・商業19・女農業50とある。 今、集落内は漁村風景が展開している。無秩序に家が建ち並ぶ漁村集落が多いが、この宇龍は小さな3つの谷底に集落が建ち並んでいる。集落内のメイン道路は漁村にしては比較的幅が広い。 切妻造りの中2階建ての家屋が多い。中には漆喰塗込めでナマコ壁を備えた家も見られるが、板囲いが多い漁村風景が展開していた。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和54年 島根県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1995年 |
大社町宇龍の町並 |
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