防府市宮市は山口県中央部南、佐波川下流域、防府市の天神山の南に位置する。 江戸期は萩藩領、三田尻宰判に属した。 宮市は天神山南麓にある防府天満宮(松崎天神)の鳥居前にできた町で、東西の山陽道と南北の萩往還との丁字状に交差する付近から市がおこった。 江戸後期までに佐波村から分かれて成立したと思われる。江戸期は萩藩領。三田尻宰判に属す。 「元禄郷帳」には佐波令村の注記に古くは佐波令村・宮市村2ヶ村とある。 村高は「注進案」で244石余。但し、東佐波令村58石余・西佐波令村176石余に分けている。 慶長15年(1610)検地帳では、佐波令のうちの市屋敷203軒で、これが宮市の家数に当たると思われる。 「地下上申」では町方の家数330・人数1,298。「注進案」では家数571・人数1,841とある。 宮市は東西9町半余の山陽道に沿った細長い町筋で、山陽道と萩往還の交差する天神馬場前には、天下御物送り場・目代馬継所・高札場があり、宮市の中心を成していた。また、東側の前小路には宿屋・煮売屋が立ち並び、南の竪市は三田尻への往還筋として賑わい、西の中市は本陣兄部家や酒造の家が、さらに西の新町には脇本陣の中村家・市川家などがあった。 今、古い町並と言えるほどのものは残ってなく、伝統的な様式の家屋が、旧山陽道と旧萩往還の交差しているところ近く、旧山陽道に沿って少し点在している程度。 町並の中心で古い町並景観に大きく寄与していた、旧本陣の兄部家の建物が2011年に焼けてしまいました。本陣兄部家は佐波郡一帯の商人を統括した有力な商家で、寛永19年(1642)に宮市宿の本陣に任じられた名家。この解説ページの最初の写真が旧兄部本陣の建物ですが、焼けてしまったため道路脇に写真と説明が掲げられていたものを、写真に撮ったもので今は更地なっています。早く復元してほしいものです。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 1988 山口県の地名 平凡社 下中邦彦 昭和54年 山口県の歴史散歩 山川出版社 山口県の散歩編集委員会 1993年 |
宮市町の町並 |
宮市町の町並 |
宮市町の町並 |
宮市町の町並 |
上天神町の町並 |
栄町2丁目の町並 |