勝北町・奈義町の防風林の集落

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奈義町滝本辺りの家

岡山県北東部の勝北町・奈義町は陸上自衛隊日本原演習場を含む町であるが、日本でも有数の局地風の吹く地帯でもある。日本の局地風で有名なのは、この地区に吹く広戸風。山形県の清川だし。愛媛県のやまじ風の三つである。
台風が四国室戸岬から潮岬を通過するときに発生する、那岐山・滝山間の鞍部からの山越え気流で、瞬間最大風速40〜50mに達する。この風は「広戸風」(江戸時代には北大風といった)といわれ、勝北町から奈義町にかけての横仙地方を襲い、農作物や住宅に大きな被害を与える。特に取り入れどきの稲作に多大な被害を与え、農家の人々の悩みの種である。
この地帯では小さい山の南側に貼りついて住宅を建てるか、住宅の北側に「コセ」といわれる防風林を設けて、住宅への被害を防いでいる。
コセは木背・戸背・居背・小背とも書かれ、いつ頃から作られたかは判らないが、貞享元年(1684)の記録では「田畠山林売買禁制」が出ていることから見ると、その頃以前から防風林が存在していたようである。
この辺りの集落では北の小山を背にして住宅が建っているか、田畑の中の住宅では家屋の北側に高くて15〜20m、低くても6〜7mの高さの樹木が生い茂っている。
田畑の中のコセにも、地面から樹木が生い茂っているもの、またお城の土塁のような土手を住宅の北側に作りその上に樹木が生い茂ってるもの、中には石垣をつんでその上に樹木が生えているものもある。
生い茂っている樹木も、庭木のように刈りこみはされないようで、自然林そのままのようである。
樹木の種類は、高くなる樹木なら何でもいいようで、樫、欅、檜、杉、伊吹、竹などであり、1種類だけ植えられた場合もあれば、2〜3種の場合もある。
このように大きな樹木が茂っているのであるから、北側から近づくと森と思い、そこに住宅があるのを気づかずに過ごしてしまいそうなほど、自然にとけ込んだ景観で、数百年の歳月をかけて造られた風景があちこち至るところに展開する。
町並(景観)指数  50
参考文献
  角川日本地名大辞典  角川書店  角川日本地名大辞典編纂委員会
  中国地方のまち並み  中国新聞社  中国地方まち並み研究会  1999年
  http://www.harenet.ne.jp/shoboku/hirodo/hirodo.htm
  http://www.hal.ne.jp/furusono/hiroto.htm

写真は全部奈義町滝本あたりの家 バックの山は那岐山
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