琴平町の町並み 
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地図


参道石段前の町並み
  香川県の中央部より西の丸亀平野の西のはし、象頭山の東山麓に広がる琴平町は、金刀比羅宮の門前町として開けた町で、古くから全国津々浦々からの参拝客で賑わってきた。
海の神様で全国に知られる金刀比羅宮は、象頭山の中腹に鎮座している。金毘羅さんの成立は、元亀4年(1573)真言宗金光院松尾寺境内に祀られた金毘羅神がはじまりで、それから以後、元和・寛永年間(1615〜44)頃までの僅か50〜60年の間に、金毘羅は全国にその名を知られるようになった。
江戸時代初頭より金毘羅が知れ渡る様になると、仙石氏・生駒氏など歴代の領主からの寄進が相次ぎ、社領は着実の増えていった。江戸時代を通じて高松・丸亀両藩の支配のない治外法権の土地であった。
慶長年間(1596〜1615)には、すでに全国各地から金毘羅門前に移住するものがあり、領主生駒家では居住しやすい政策をとった。この頃に移住してきたものの中には、酒造業を営み町年寄になった菅(菅納)家や木村家、荒川家。延宝年間(1673〜81)に移ってきた酒造家の伊予屋泰半左衛門は天保年間(1830〜44)には金堂再建の世話役として活躍している。
そして少し遅れてやや身分の低い役人達や、大工棟梁・張物師・檜皮師・鍛冶職・藍屋・素麺師などが移ってきた。
弘化3年(1846)の金毘羅金堂寄進帳では、新町・片原町・阿波町・内町・札之前町・高藪町・西山・坂町・金山寺町・谷川町があった。
江戸や京都・大坂からの参詣客が多くなり、延享元年(1744)に、大坂の船宿で参詣船を仕立ててやったくることが認められた。金毘羅の宿屋が活気を帯びてくるのはこの頃からで、虎屋・桜屋・備前屋・芳橘楼・水明楼などは家の構えが広大で、庭木や調度、料理の美麗さが来訪者の目を驚かせたと、当時の旅行記に書かれている。
金毘羅の歌舞伎は有名であるが、宝永5年(1708)からは芝居が公式に認められ演じられていた。明和6年(1769)には市川団蔵、天保元年(1830)には尾上菊五郎、天保4年(1833)には市川蝦十郎と次第に有名な役者が来演するようになり、天保6年(1835)には瓦葺きの定小屋(金毘羅大芝居)が建てられた。
表参道の石段は本宮まで785段あるが、門前町はその途中365段目にある大門までだ。大門までは土産物を売る店が参道の両側にずらりと並ぶ。その規模は日本一ともいわれている。
JR琴平駅より正面真っ直ぐ先に大きな鳥居。そして高燈籠がある。高燈籠は高さ29m弱、門前町琴平のシンボルの一つで、安政6年(1859)の完成である。
金毘羅さんの門前町らしい雰囲気がある通りは、神明町通りから新町商店街の通りと、一の橋からの参道で、やはり一番のハイライトは大門までの石段両側に並ぶみやげ物屋である。
金刀比羅宮への石段の手前に、造り酒屋さんがある。主屋は入り母屋造り、中二階で白漆喰塗り込めの虫籠窓、本瓦葺、平入り、出格子の大きく重厚な建物で、軒庇の上に屋根付きで杉玉や板の看板が揚がっていた。その前が旅館備前屋。寛永年間(1624〜44)の創業と云われ、古風な木造二階建てで、切り妻造りの妻側に軒庇が付いている。銅板葺の門には“まるこん”印の提灯が五つぶら下がっていた。
老舗旅館の敷島館は、「よしまや吉衛門」と称して寛永年間(1624〜44)に創業した老舗。堂々たる木造三階建ての建物。銅板葺の唐破風屋根の玄間入口には備前屋同様に、“まるこん”印の提灯が五つぶら下がっていた。
石段前にこんぴらうどんの算額茶屋とさぬきうどんの虎屋が並んである。虎屋は金毘羅を代表する格式の高い旅篭であった。銅板葺の唐破風屋根が付き、豪華な彫刻が施された木板の看板が上がっていて、二階の全面に見事な彫刻がされていた。
旧金毘羅大芝居は、今、正式名は金丸座であるが、今でも一般的には金毘羅大芝居で通用する。現存する日本最古の芝居小屋で、前述のように天保6年(1835)に建てられたもの。国の重要文化財で間口24m、奥行き44m、正面入り母屋造り、中央部きり妻造りの段違い、背面寄せ棟造り、本瓦と桟瓦を併用したもので、大坂の道頓堀の大西座を模して造ったといわれる。この建物はもと金山町の、今の琴平町立歴史民俗資料館の場所にあったが、昭和47年から4年間かけて解体修理して、現在地に復元移築したものである。 
町並み指数 40
参考文献   
  香川県の歴史散歩  山川出版社  香川県の歴史散歩編集委員会  1996年
  町並み・家並み事典  東京堂出版  吉田桂二  昭和61年
  四国小さな町小さな旅  山と渓谷社  山と渓谷社大阪支局  1999年
  角川日本地名大事典  角川書店  角川日本地名大事典編纂委員会  

鞘橋(さや)

金刀比羅宮参道

旅館の老舗 敷島館

並び灯篭

西野金稜酒造

讃岐うどん屋さん
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