伊方町湊浦は佐田岬半島東部、宇和海に面したリアス海岸の湾頭に位置する。古くは佐瀬部浦と称していたが、天保14年(1843)湊浦と改称。江戸時代を通じて宇和島藩領。 寛文年間(1661〜73)の「西海巡見志」によると「湊有、何風にもよし、百石以上之船三百艘懸」と見え、どんな風にも強い天然の良港で、100石積以上の船が300艘も出入りしたとある。 解説は伊方町川永田と同じで、農業の他に当地域の主産業は沿岸での鰯漁であった。イワシは干鰯に加工され、藩の専売品として重要な財源であった。「西海巡見志」によると、寛文〜貞享(1661〜88)頃の佐瀬部浦(湊浦)は家数38。 またこの地では、冬季の農閑期や休漁期間中の行商や出稼ぎは古くから行われていたが、その代表的なのが「伊方杜氏」で知られる酒造地への出稼ぎがあった。 今、町を歩くと虫籠窓を残した商家の建物や伝統的な様式で建てられた大型建物も点在する。宇和島藩による干鰯専売制時代の富の蓄積が今に残っているのだろうと思う。 四国電力による、伊方原発の恩恵もあり、伊方町の人口は増加したそうだが、今は殆どがサラリーマンで、世帯の多くが柑橘類栽培農家であり、一部で漁業が行われているとのことだった。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和56年 愛媛県の地名 平凡社 下中邦彦 1980年 |
湊浦の町並み |
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