屋久島町安房は鹿児島県南部の海上に浮かぶ薩南諸島の一つ屋久島の東部、安房川河口にある集落である。 文禄4年(1595)太閤検地の際、種子島氏の支配を離れ、慶長17年(1612)以降、鹿児島藩の直轄地となる。村高は15石余(旧高旧領)で、全て板瓦用の杉の小板である平木で納めていた。 伊能忠敬の「九州東海辺沿海村順」では、吉田村の枝村としてみえ、家数90とある。 屋久島の杉の利用開発は江戸期に始まるとされ、建築用の木材として注目されていて、島内の木材の大部分が鹿児島藩の専売で、杉の平木は私売りを一切禁じられていた。 安房川河口の安房湊は、川幅も広く、水深もあって上流まで大型船が航行でき、北西の風を避けられることから、鹿児島湊や山川湊からの船便が発着する島の玄関口であった。 屋久杉の積出港、鹿児島航路の基地として、宮之浦と並ぶ中心港として機能していたが、年々河口の砂の堆積により港の機能が低下してきた。そして今の安房港は、地元漁船の基地としてのみ機能している。 今、集落の町並は安房川河口左岸で展開している。古い町並の様子ではないが、平屋や2階建ての建物が建ち並ぶ町並で、少し前までは繁華な町だった様子が残ってた。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和58年 鹿児島県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1998年 |
安房の町並 |
安房の町並 |
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