江戸時代の浜町は鹿島藩の商業の中心地で交通の要衝であった。鹿島藩領で長崎街道筋を浜宿、有明海に面した港を浜津と呼んでいた。有明海の海上交通、長崎街道多良道の要地として栄え、浜の御茶屋と呼ばれた上使屋、御番所・札馬・御高札などが置かれ、「浜千軒」と言われたほど多くの人が暮らしていた。 鹿島藩の産物には櫨蝋・茶・陶器・瓦・炭・紙・煙草・酒・焼酎、そして蟹漬・アサリなどの海産物があったがこれらは全て当地が中心地であった。 古い町並の中心は八宿・中町辺りで酒造場が多くあり醤油蔵もある。少し白壁が剥げ落ちてはいるが、重厚な酒蔵が建ち並ぶ特徴ある浜町の町並があった。江戸期佐賀の酒造家は、明暦3年(1657)に鍋島藩が定めた酒造株仲間制度で統制されていたが、明治4年に同制度が廃止されてから、浜町に新しい酒造場が多く創業した。佐賀平野で栽培された良質の米と多良山系の水、消費地の長崎を抱え、浜町の港と酒造の条件が揃い、酒造家が進出してきて分家を繰り返して、大正から昭和はじめには 十数軒を数えたという。その当時の町並がそのまま残っているのが浜町の特徴で、旧長崎街道沿いに妻入りの主屋が並びその奥に酒蔵が見える。 継場だった家、この界隈で最も古いと思われる山口家住宅など見ごたえのある伝統的な家屋が連なっていた。 そして、浜川を越えた庄金には、小型だが草葺き屋根の民家が並んでいた。 九州小さな町小さな旅 山と渓谷社 川崎吉光 2000年 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和57年 日本の地名佐賀県 平凡社 下中邦彦 1980年 別冊太陽日本の町並U 平凡社 湯原公浩 2003年 |
浜町字八宿の町並み |
浜町字八宿の町並み |
浜町字八宿の町並み(左手前継場) |
浜町字八宿の町並み(左手前山口家住宅) |
浜町字八宿の町並み |
浜町字中町から浜町字八宿の町並み |
浜町字中町から浜町字八宿の町並み |
浜町字中町の町並み |
浜町字中町の町並み |
浜町字中町の町並み |
浜町字庄金の草葺き屋根の町並 |