鶴の飛来地として知られている出水市にはもう一つの顔がある。それは江戸時代出水郷として薩摩の北端の藩境に位置していたため、藩の代表的な外城が置かれ、地頭仮屋の周辺に麓が形成されていた。 出水麓は出水城の北麓に形成された高屋敷地区と、平良川を挟んで形成された向江地区からなる。今回訪ねたのは前者の高屋敷地区である。 高屋敷地区は城山に続く丘陵地を整地したものであり、藩境の要地に位置したため、出水麓は藩内で最も古く大規模であった。上竪馬場・竪馬場・諏訪馬場・山崎・上山崎の五集落からなっていた。この高屋敷地区には150戸程の屋敷郡が置かれ、地頭仮屋・地頭館・重臣の屋敷等から成っていた。 藩境の地のため、国境線の10ヶ所に郷士を分散屯田させ、これを十ヶ外城(後には八ヶ外城)とも呼んでいた。尚、郷士は麓に居住する麓衆中と八ヶ外城に居住する外城衆中に区別された。これらの郷士の大部分は農業に従事しながら警備などの役を勤めた。麓衆中には麓三役などの役職や庄屋の職につくもの、あるいは鍛冶屋・染物屋・大工・左官などになったりするものもいた。 今でも仮屋門が出水小学校の正門として残っていて、連続する石垣や生垣、武家門、整然と区画された町並、碁盤の目のような規則正しい街路、樹木が街路を包み込んだような静かな佇まいである。それ以上に驚くのは規模が大きいことであった。 川内市の入来麓は主屋が街路から比較的近くにあったが、ここ出水麓は街路と主屋が遠く離れ、街路を通ると石垣・生垣と武家門以外の建物が見えない状態であった。 鹿児島県の歴史散歩 山川出版社 鹿児島県高等学校歴史部会 1997年 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和58 鹿児島県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1998年 歴史の町並再発見 葦書房 讀賣新聞西部本社 1993年 |
麓町の町並 |
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