波佐見町宿郷は長崎県中央部、大村湾の北部側で、大村湾に注ぐ川棚川上流に位置する。 波佐見村は江戸期を通じて大村藩領。村高は慶長17年検地2,484石余、「天保郷帳」では波佐見村一村として2,845石余とあるが、「旧高旧領」では上波佐見村4,137石余、下波佐見村3,970石余と2ヶ村に分けて記されている。 波佐見村は大村であるので、江戸初期に上・下2ヶ村に分村したが、この分村は大村藩領内限りのものであったらしく、幕府への届けでた郷帳類では波佐見一村となっている。 今回訪ねた宿郷は上波佐見村の一集落であるので、主に上波佐見村について記載する。 「大村郷村記」によると、文久2年(1862)の村況は、東西1里30町・南北1里10町、広さ3,643町余というから、上下2ヶ村に分けても相当大きな村であった。家数は1,161・人数5,531とある。職業別では酒屋3・糀屋9・綿屋5・豆腐屋14・鍛冶屋4・染屋5・質屋1・細物屋6・味噌醤油屋4・呉服屋1……と各種もろもろの職業の家があった。 江戸期には波佐見宿が上波佐見村宿郷に置かれていた。有田街道や波佐見往還・佐賀藩への武雄往還などが通じていた。宿は長さが2町47間余で、馬宿左司が置かれ、商家45軒が並び、制札場・庄屋・寺子屋などもあり、この辺りの政治・経済の中心地であった。 今の宿郷の町並は、造り酒屋さんの白漆喰塗り込めの家屋を中心に、伝統的な様式で建てられた家屋が連なる光景が見られる。町の中心が町役場近くや県道沿いに移って行ったので、訪ねた辺りは静かで見ごたえのある古い町並が残っていた。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和62年 日本の地名長崎県 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 2001年 |
宿郷の町並 |
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宿郷の近代建築 |