豊郷町四十九院(しじゅうくいん)は滋賀県中央部、宇曾川北岸にあり、犬上川の形成した扇状地の縁辺にあたる平坦な低地帯である。 江戸期を通じて彦根藩領、検地は慶長7年(1602)、村高は953石余で幕末まで変わらない(寛永高帳・元禄郷帳・天保郷帳)。幕末には「旧高旧領」で973石余。 中山道が通り、中世には宿場だった。地勢は平坦で、道路も広く物資の輸送には好都合であったが、水利には恵まれず旱害を受けることが多く、用水争いは検挙にいとまがない。 集落は中山道沿いに南北に長く連なる。商業活動は活発で、商社の伊藤忠商事や丸紅の創業者伊藤忠兵衛も幕末から明治にかけて石畑から出ている。 明治11年の「四十九院村誌」に家数131・人数578、田60町余・畑2町余・宅地3町余、農家130とあり、殆ど全戸が農家だった。 四十九院の南、石畑に昭和12建設のヴォーリズ設計の旧豊郷小学校建物群が、旧中山道沿いに建っている。今は地域活性化のための施設として解放されている。 四十九院や石畑は中山道高宮宿と愛知川宿の間の宿として賑わっていたようだ。街道に沿って平入・妻入りの伝統的な様式で建てられた民家が点在する。茅葺の家、煙出しを残した家も多く見られ、街道筋の集落だったと判る町並形態だった。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和54年 滋賀県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1986年 中山道歴史散歩 有峰書店新社 斎藤利夫 1995年 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
四十九院の町並 |
石畑にある旧豊郷小学校 |
安食南の町並 |