飯能市坂石町分は埼玉県の南西部、飯能市街と秩父市街の中間で、秩父山地に位置する山村である。秩父往還沿いにあり、馬継ぎの宿場だったところ。 江戸はじめは幕府領、文政8年(1825)上野館林藩領、天保7年(1836)幕府領に復し、嘉永元年(1848)川越藩領、そして幕末には幕府領となる。 江戸はじめは坂石村であったが、元禄13年(1700)秩父往還の宿場町であった町場の部分が分村して坂石町分として分離独立した。 馬代えの必要があった急峻な山道で、馬継ぎを行う町場は秩父往還の両側に軒をならべ、幅10間・長さ3町あまり。化政期の家数29軒。 山地が大部分を占めるため林業が盛んであったが、耕地は僅かで土性も悪く、穀物は半年分も採れなかった。そのため農間には男は木伐り・炭焼き・荷担ぎ・駄馬引きなど、女は養蚕のほか絹木綿織や紙漉きなどを行っていた。 古い町並みは旧秩父街道沿いに展開する。江戸期から明治期の宿場の名残が色濃く残っている町並みである。平入り切り妻造り、トタン葺き、中2階・2階建てで、中には千本格子を残した家も散見できた。 現代的な建物が混在しない、この古い町並みは保存に値する町並みと思う。早く手を打って何時までのこのままの町並みであってほしいと願いながら探訪を終えた。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和55年 日本の地名 埼玉県 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1993年 |
坂石町分の町並 |
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