日立市川尻町は茨城県の東北部、日立市街から海岸沿いを北に約8km進んだ、多賀山地東麓神峯山の東に位置する海岸沿いの集落である。 江戸はじめは佐竹氏領、慶長14年()からは水戸藩領。村高は寛永12年(1609)「水戸領郷高帳」669石余、「元禄郷帳」1,021石余、「天保郷帳」1,099石余。 「水府志料」によると家数356、村の規模は東西14町39間・南北13町32間。岩城相馬街道(陸前浜街道)が通る。物産は米・麦・小麦・大豆・小豆などの農産物の他、水産物も多い。文化・文政年間頃の諸国鰹節出所番附表には、前頭として川尻村が見え、当時は鰹漁で鰹節製造と鰹の塩辛製造が盛んであった。 水戸藩から将軍への献上品の中に肉醤(たたき)がある。肉醤はこの地の特産物で鰹の腸の塩辛の一種で、元禄9年(1696)平方村(現北茨城市)の松延道庵が伝えたといわれるもの。 文化5年(1808)水戸藩の海防陣屋が建てられ、大砲6挺が備えられた。 今、町並は旧岩城相馬街道に沿ってと、更にこの街道の海岸側に沿った規則正しい碁盤目状の道筋の両側に展開する。造り酒屋さんや味噌醸造所なども現役で頑張っておられる。古い伝統的な様式で建てられた建物も数少ないが点在している。このように海水浴場のすぐそばで、人家が密集した町並が展開しているのも珍しい光景と思いながらの探索だった。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和58年 日本の地名 茨城県 平凡社 下中邦彦 1982年 |
川尻町1丁目の町並 |
川尻町1丁目の町並 |
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川尻町1丁目の町並 |
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