奥州市前沢区は岩手県南部、北上川中流域に位置し、県都盛岡市までは約75kmに位置している。 江戸期を通じて仙台藩領。 天正19年(1591)豊臣秀吉の奥州仕置により伊達宗直がこの地方を領有すると、大内定綱が前沢に就封し、次いで成田杢之勝が、次いで飯坂宗長が就封した。そして天和2年(1682)に三沢宗直が入封し、治政15年、以後8代186年の統治が続いた。 前沢の町づくりは大内氏にはじまり、一国一城令により前沢城を廃し、居館を御沢(現前沢小学校)に移し、家臣を広小路・表小路・下小路に屋敷割して住まわせた。また、下胆沢の中心地として大内定綱の代より栄え、3の日、7の日に市が立って、三日町・七日町の名が生まれ、新町もこの頃誕生した。成田杢之勝のときには、五十人町が創設され前沢防衛にあたらせた。 三沢宗直も入封してから町づくりに励み、享保年間(1716〜36)までに今の前沢がほぼ出来上がった。 前沢には奥州街道が通りその宿場町であって、「正保郷帳」には前沢宿とあり、「安永風土記」では家数282とあり、前沢町の中に七日町・三日町・新町があり、人数1,362・馬149とある。 北上川が近いため、目呂木・六日入の両河岸を通じての物資交易が盛んであった。 今でも前沢の中心は七日町・三日町・新町である。この江戸期から続く町並みに伝統的な様式で建てられた商家の建物が連なり、また点在している。平入りであったり妻入りだあったりするが、屋根は全てトタン葺きになっている。妻側の真壁を見せた綺麗な建物も多い。 雪国独特の昔の木製アーケードの「こみせ」を残した家も見られなかなか見応えある町並だった。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和60年 岩手県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1990年 |
前沢区平前の町並 |
前沢区平前の町並 |
前沢区七日町の町並 |
前沢区七日町の町並 |
前沢区七日町の町並 |
前沢区七日町の町並 |
前沢区七日町の町並「こみせ」が残っている |
前沢区七日町の町並 |