大蔵村大字南山小字肘折は山形県北部、最上川の支流銅山川(烏川)の中流域に位置する温泉湯治場である。 肘折温泉は出羽三山登拝道(肘折口)の霊湯として古くより知られ、夏の盛期には登拝する白装束の道者の行列が絶えることなく続いたと云われる。 烏川の船着き場で上陸し、熊高・今小屋を経過して当地に到着した道者は、肘折温泉で一泊して翌日早朝に月山をめざして登った。開湯の時期ははっきりしないが、おそらく室町時代と思われている。 江戸期の記録によると二間四方湯壷三ツを有し、効能は中気・頭痛・打身としている。 「増訂最上郡史」によると、宝永5年(1708)の年間湯治人数は6,192人。古来より入湯者からいくばくかの湯銭を取り立て、その収入のなかより湯運上を藩に納めていた。 肘折温泉は今でも湯治場の雰囲気を残している。鉄筋コンクリート造りや木造建築が入り混じった温泉街を形成している。細い道の両側に旅館建物が連なり、今でも自炊のできる旅館も多くあるそうだ。 観光案内書を見ると、旅館は26軒、収容人員1,300人程の温泉地である。朝市があり、湯治客が食材を仕入れる姿が見られる湯治場。高温で湯量の多い温泉地で全てかけ流しの温泉で、共同浴場が6ヶ所もある。 角川日本地名大辞典 角川書店 角川日本地名大辞典編纂委員会 昭和56年 山形県の地名 平凡社 (有)平凡社地方資料センター 1990年 |
肘折温泉の町並 |
肘折温泉の町並 |
肘折温泉の町並 |
肘折温泉の町並 |
肘折温泉にあった旧郵便局 |
肘折温泉の町並 |
肘折温泉の町並 |
肘折温泉の町並 |