須崎市 | ||
柳屋旅館 | ||
高知県須崎市西町一丁目22 電話 0889-42-0175 |
柳屋旅館の前景 |
柳屋旅館の夕景 |
柳屋旅館の入口玄関の土間 |
須崎は高知県中央西部で、土佐湾に面してリアス式海岸の地域である。 江戸期は茶・和紙などの産物を扱う在郷町として発展し、和紙問屋・廻船業・鰹節製造・薪炭問屋などの有力商人たちがいた。寛保3年(1743)の郷村帳では家数494・人数2,081とある。 明治に入ってからも漁業等の水産業は活況であった。 町並には伝統的な様式の家屋が多く残っていて、ナマコ壁の家屋・水切り瓦を備えた家屋も散見できる。 そんな町並の中に、平屋建て寄棟造りの外観を持つ柳屋旅館がある。チョット変わった玄関建物の外観。 入口を入ると広い上がり框に奥まで続く長い土間、その先に見える中庭の樹木。旅籠宿の演出効果としては十分すぎる要素が備わっている。その中程に何故か大きなバイクが置かれていた。 出てきた女将に、良い感じの土間と上がり框の広さですねというと、映画やドラマの撮影に度々使われたことがあるのですよ。俳優さんの名前を挙げて説明をうけたが、私としては俳優さんよりもこの時代劇に出てくるような雰囲気に浸る方か好きだった。 土間が気に入り、なかなか動きそうにない私をみて、ここでお茶を出しますねと、お茶と茶菓子をだしてくれた。そして荷物を玄関入口の置いて、私について来て、と案内されたのが奥まったところにある離れの二間続きの立派な座敷。泊るのはこの部屋にするか、これから案内する別の部屋にするかをお客さんに決めて欲しいと。両方の部屋ともエアコンを入れて暖められている気の遣いよう。 泊ったのは、建てられた時期が古い方の本館の部屋で二間続きだった。 柳屋旅館は明治18年創業で、130年も経つ老舗旅館。今の女将で4代目だそうで、5代目の息子さんも顔を見て挨拶されていた。 建物は当時のままで、改装は水廻り以外は殆どされてないようだったが、整備や掃除は綺麗にされていた。 一旦部屋に落ち着いてから、再び玄関辺りに出てくると、白装束のお遍路さんが前の道に居られる。柳屋旅館の目の前が大善寺という、四国八十八ヶ所観音霊場別格の寺院があり、観光バスで来たお遍路さんがお経を唱えられていた。 玄関土間には大きな柱時計、火鉢、提灯を入れた箱、カンテラ(昔の移動用の明かり)などが備えられていて、昔の商家の店先のような帳場もあった。どうも演出じゃなく今も使われている本物のようだった。玄関を入った所の階段の傾斜は大変緩やかで、古い建物には不釣り合いと思い、改装云々と尋ねたが、この階段は最初からこの傾斜だったとのこと。古い旅館建物の階段は急勾配が多いが、この階段は現代風な傾斜の緩い階段だった。玄関の外側には創業時からのモダンな明かりが灯り、辺りの雰囲気を幻想的なものに演出していた。 中庭には大きなウチワサボテンが繁り、2階の屋根まで届いていた。樹齢100年以上だそうで、春には黄色い花を沢山咲かすと女将が写真を見せてくれた。 土間奥にあった大きなバイクは、第5代目の息子さんの物で、適当な置き場所が無いのでここに置いているとのことだった。 当日の宿泊者は私一人で、食事はできないと断られたが、創業当時からお遍路さんの宿泊場所と知られる旅館だったらしい。 (2015.12.6宿泊) |
泊った部屋(二間続きの部屋) |
最初に案内された離の部屋 |
入口にあった提灯箱とカンテラ |
柳井旅館の暖簾と柱時計 |
柳井旅館の全景(四角に固まった建物部分とそれに続く奥の2棟) |
食事場所から見た中庭 |
泊った部屋から見た中庭の大きなサボテン |
泊った部屋の中庭側の縁側の手の込んだ仕切り |