岬町
龍宮館
大阪府岬町淡輪838-8
電話 072-494-3011 

龍宮館の前景

龍宮館の夕景

龍宮館の入口

  龍宮館はつつじの名所、淡輪遊園のつつじ山(あたご山)の頂上近くにあり、明石海峡や神戸・関西空港も見晴らせる素晴らしい景色を堪能できる料理旅館である。
国道26号線から分かれて、南海電車淡輪駅近くを通り、岬淡輪郵便局から右に折れて小さい丘に登る山道に入って直ぐの所にあった。
旅館入口を入ると、天然木の彎曲した木を用いた上がり框が迎えてくれる。声を掛け案内された部屋は、入口から奥に続く廊下の突き当りの一階の部屋。2面に大きく開口部を設け、回廊式の縁側を付けた見晴らしの良い部屋。片方の縁側からは淡輪ヨットハーバーが、もう一方からは淡輪漁港を見晴らせる眺望の良い部屋。
龍宮館は明治37年創業の料理旅館。案内願ったのは3代目と仰る女将で、料理を造っているのは4代目の息子さん。女将によると、明治の中期に御坊(現御坊市)の南の日ノ御碕の廻船問屋の次男坊がこの辺りに釣りに来て、良い景色に惚れこみ旅館を開いたのが初代とのこと。場所は今の淡輪漁港の北の端辺りであったとのこと。
明治30年に現南海電鉄が尾崎まで、明治36年には和歌山迄繋がり、新聞報道などで岬町の景勝・人情・歴史的遺産などが知れ渡り、大阪から多くの人が訪れるようになった。そのころ淡輪駅はなく、箱作駅で下車して、村営連絡舟便で淡輪海岸に着くようになり、明治37年淡輪黒崎海岸に海水浴場が開設された。
南海電鉄が淡輪に淡輪遊園の開発に乗り出したのは、明治43年(1910)で淡輪駅も造られ、港から「あたご山」辺りに旅館などが建ちだした。淡輪遊園は大正期を通じて、つつじや桜が植えられて名所となり、更に冷泉の潮湯が出たことにより、昭和12年(1937)潮湯温泉が開業した。
さて龍宮館は、明治37年に港近くの平坦な所に開業したが、現南海電鉄の淡輪遊園の開発に同調して、大正期の初めに「あたご山」の頂上近くに移転したようだと女将の話。私が結婚してこの旅館に来たのは昭和39年で、その当時は潮湯温泉として賑わい、この付近に12軒もの旅館があったが、今では龍宮館一軒になってしまったと仰っていた。
現在の建物は大正期に港近くから移転した時に建てられたものであるが、内部の改装や修復が進み泊った部屋の床の間くらいにしか、古い装飾や意匠は見られなかったのは残念であった。もう少し古い構造などが見られるかと思ったが。でもその分、料理は宿泊価格にしては上等で、この料理でこの価格、大丈夫と思う宿泊であった。
(2018.03.19宿泊)


泊った部屋(天気が良ければ見晴らしが最高の部屋)

泊った部屋(左の縁側から淡輪漁港が、右の縁側からは淡輪ヨットハーバーが見える)

泊った部屋(天井の一部が)

泊った部屋(床の間の天井が)

泊った部屋から見た淡輪ヨットハーバー

泊った部屋から見た淡輪漁港

泊った部屋の前の庭

泊った部屋の隣の部屋

玄関入口の上がり框(天然の曲がった樹が)

夕食の最初に出てきたもの

朝食

龍宮館前光景(左の道は公道)

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