南丹市
旅館合羽家
京都府南丹市園部町本町
電話 0771-62-0041 

旅館合羽家の正面

旅館合羽家の正面夕景

旅館合羽家の入口

  京都府南丹市園部町本町にある江戸期から続く旅籠旅館の合羽家さんに宿泊した。
旧山陰街道沿いにある「合羽家」は左隣3軒目に本陣「新屋小林家」、又街道を隔てた前に脇本陣があった旧山陰街道園部宿の中心地に位置している。
明治期の鉄道敷設に際し、火事を心配して市街地に鉄道を通さなかったため、開発は遅れたが、町並などは保存された状態を最近まで保っていた。
「合羽家」は旅籠当時には、醤油醸造も手掛けていたようで、天保15年(1844)に描かれた図面が残っている。それから見ると、建物はそれ以前に建てられたようで、鬼瓦に記された年号から文政(1818~1830)頃と思われる。図面によると間口は狭いが奥行きが深い敷地で、街道に沿った主屋は今と全く同じ間取りで、大きく改造されていないことが判る。玄関入口右側には醤油の販売所があり、入口左側は広縁が2方に広がる。旅籠時代のお客の足を洗うための広縁だった。そしてその奥には客室が並び、屋敷の最奥に醤油醸造場が描かれている。旅籠を兼ねた醤油屋だったのだろう。
旧園部宿の中心地に位置しているので、山陰地方の諸大名の参勤交代時には、大名(殿さま)以外の家臣の宿泊場所として使用されていたのだろう。
昔、醤油蔵の在った辺りは客室と庭になっていて、樹齢200年を越える立派な松が庭の中心に植えられていた。石灯篭には嘉永6年(1853)とあるので、庭はこの頃に造られたものと思われる。
今、この宿は7年前にご主人が亡くなり、79歳とおっしゃっていた女将一人で切り盛りされている。元気な間は良いが、何時まで続けられるかと不安そうだった。
(2014.12.28宿泊)

旅館合羽家近くの町並

宿泊した部屋から見た庭

庭にある立派な松

中庭に沿って並ぶ客室

玄関入口の合羽家の表示(これだけしか無かった)

泊った客室

天保15年の合羽家の家屋図、旅籠と醤油醸造もされていたようだ。

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