伊勢市
紅葉軒
三重県伊勢市宮町1-14-17
電話 0596-28-2456

紅葉軒の前景

紅葉軒の夕景

紅葉軒の入口玄関

  伊勢神宮の参詣客はお蔭参りの影響で、爆発的に増加したこともあり、外宮先祭の慣習から外宮周辺の御師宅は超満員状態だったが、明治初年の御師制度の廃止と、交通手段の発達によって伊勢参宮の方法も変化し、御師宅での宿泊が無くなり、新しくできた旅館への宿泊に変わっていった。
そんな中で開業されたと思われる紅葉軒は明治30年の創業で、まさに伊勢神宮参拝の変化の中で誕生した宿のようである。
案内されたのは頼んでいた通りの道に沿った部屋であった。部屋も暖かく宿泊者を迎えられるようにエアコンが動いていた。案内された室内を見るとあまり古さを感じない。案内してくれた若女将が出て行ったのを見届けて、柱などを良く見ると、古い柱の表面に薄い板を張り付けて新しく見せている。 ああ よかった、古い建物で良かったと思う。でも、窓などは全部2重のサッシュになっていて、騒音や暖房効果は抜群であった。
道路に面した間口のまま、奥に奥にと部屋が続き、奥行きが随分長い旅館であった。
聞くと創業時の建物を改修しながら旅館として営業されている。当然水廻りの設備は新しいものになっていて、快適に宿泊ができた。
伊勢という一大観光地だから、外国人の宿泊者も多いと予想しての宿泊だったが、旅館内に英語や中国語の表示が一切なく、当日の宿泊者の12人~13人全部が日本人であった。この様な旅館では外国人にも対応している所が多い中で、チョット異様に感じるが、営業努力によって多くの日本人の観光客の受け入れを目的にした旅館のようだった。
この旅館の売りにしている良い部屋は「松風」の間と「高砂」の間ですが、当日はこの部屋には誰も宿泊していなかった。宿泊代により宿泊可能になるのだろう。
正面入り口の右側の部屋の窓が、古くからの宿にしては??と思ったが、少し前までは喫茶店・食堂として営業されていた名残の様で、今は宿泊客の食堂としての使用であった。
入口近くの廊下や食堂に、大福帳形式の古い宿帳や現金収入帳が展示されている。明治42年と書かれた部分も確認できたので、大女将にもっと古いものはと聞くと、土蔵の箱の中に入っているが、余りにも汚いので見せられないと仰っていた。
宿泊客と対応するのは若女将一人で、従業員もいるようだった。宿泊当日は姿を見せなかった大女将は宿泊翌日には着物姿の正装で帰る客の見送りをされていた。
(2015.12.25宿泊)

松風の間

高砂の間

翁の間から見る

泊った部屋

入口に近い階段 2階から見る

入口に近い階段 1階から見る

昔からの屋根の野地板が見える
 
現金収入帳 明治42年10月とある
 
現金収入帳 明治44年とある収入帳でしょうね
 
宿帳や現金収入帳などが廊下や食堂に掛けられていた
 
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