桜川市
伊勢屋旅館
茨城県桜川市真壁町真壁193
電話 0296-55-0176

伊勢屋旅館の前景

伊勢屋旅館の夕景

伊勢屋旅館の入口

 真壁町は江戸時代から明治・大正にかけて、この地の商業の中心として栄え、多くの商人たちが店蔵・土蔵・門などを競って建てたのが今に残り、かっての隆盛を忍ばせている。
この地は木綿の栽培が盛んで、他に大豆・麦なども栽培され、綿織物・醸造業なども発達し、城下町から在郷町へと変化していった。木綿取引の定期市が開かれ、真壁・筑波郡一帯の縞木綿が集まり東北地方に販売されていた。明治に入っても木綿栽培に支えられた製糸業が発達し、大正に入って筑波鉄道の開通により、真壁の花崗岩が石材として東京方面に出荷され石材の町としても発達した。
江戸期から明治・大正にかけて在郷町として発展し、富を得た商人らによって建てられた重厚な建物が,
東北大震災の被害にも耐えて多く残っている。
そんな中の一軒が今回泊った「伊勢屋旅館」である。明治中期に料亭「勢州屋」として建造され、修復改修を繰り返されながら現在にその姿を留めている。平成12年より国の登録有形文化財にも指定された建物。
入口を入るとお雛さまの段飾りが出迎えてくれた。女将に早い雛飾りですねと言うと、取材を受けますのでとのこと。
案内された部屋は頼んでいた通りの、前の道に面した古い建物の小さい方の部屋。寒い時期なので道に面した大きな部屋は温まり難いのでとことの。この道路に面した建物が国の登録有形文化財に指定されているとのこと。旅館の主な客室は文化財の建物の奥に続く建物で、普通はその部分に宿泊客を泊めるようでした。
東北大震災で真壁町でも大きな被害を受けたが、幸い伊勢屋旅館はその前年に大々的な補修を行っていたので、一部壁が落ちた程度の被害で済んだと仰っていた。
真壁町は3月の雛飾りで有名な町で、古い伝統的な様式の家では、お雛さんを飾って公開するので有名な町で、町を挙げての一大行事になっている。殆どの家では2月に入ってからの展示公開らしいですが、伊勢屋旅館山では訪ねた1月15日にはもうお雛さんが飾られていた。
料理屋として明治中期の創業で、今の女将さんで5代目とのことですが、料理を作っておられたのは4代目女将だった。
道に面した登録有形文化財の建物の右側に大きな門がある。今は車庫に使われているが、立派な門の割には奥に正式な入口が無い。この門は何のために建てられたのかと女将に聞いても、何ででしょうねとのことだった
宿の切り盛りは4代目と5代目の女将がやっておられ、4代目の主人は住居部分におられ、5代目の主人は他所に勤めておられるようだった。
宿のあちこちに大きな「かんぴょう」に彫刻されたものが飾られていた。何だかわからず瓢箪にしては大きいし、カボチャでもないしと思ったが聞けば、親戚の方が「かんぴょう」の外側に彫刻しておられるものとのことだった。
ただ、この真壁町を訪ねるのは困難を極める、公共交通機関が全く無い状態。私が訪ねたときには試験的にバスが運行されていたが、それも3月31日までの暫定的な試験運行とのこと。因みに「つくば市」から訪ねたが試験運行のバスには私を含め行も帰りも2人の乗車だった。これじゃとてもじゃないが採算が取れないと宿の女将も嘆いたおられた。
(2017.1.15宿泊)

泊った街道に面した表の部屋

泊めった部屋の隣の部屋

街道に面した部分は狭い廊下になっていた。

泊った部屋から見た外の景色

泊った部屋に置かれていた置物(かんぴょうに彫刻したもの)

階段

泊った部屋と隣の部屋の欄間

風呂棟(今は外されているが風呂へ行く渡し板があった)

風呂の奥に土蔵がある
 
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