箱根町
富士屋ホテル
神奈川県箱根町宮ノ下359
 電話 0460-82-2211

富士屋ホテル花御殿

富士屋ホテル花御殿の夕景(凄い豪雨の中の撮影)

富士屋ホテル入口(本館の建物)

 箱根宮ノ下温泉の富士屋ホテルが今年の3月末をもって、全面改装するために約2年間休館するとの情報を得て、なんとか泊ろうと思い模索していたところ、ひょんなことから富士屋ホテル花御殿に泊る機会が得られた。
富士屋ホテルは明治11年に、国際観光の重要性を認識した山口仙之助によって創業さてたホテルである。
在日外国人の憧れの的が箱根・富士山であること、東京・横浜から近距離であること、温泉が湧き出ていること、この3点の立地条件を備えている箱根宮ノ下にホテルを創業したものである。
その後、明治16年宮ノ下の大火で焼失、明治17年平屋の12室の洋館を、明治19年にも10室の洋館を建てている。そして明治24年、現在も現役で活躍する「本館」を建築し、明治39年に西洋館の1号館・2号館を、大正9年に3号館を建て、昭和5年に食堂棟を、昭和11年に花御殿が建築された。
玄関入口から、赤い絨毯が敷かれた階段を昇るとフロントの前に出る。フロントよりもその前の2階への階段が目に飛び込んでくる。踊り場の手摺が湾曲した見事な階段だ。この場所は明治24年に建てられた本館の一階だから、多分階段もその時のものだろうと思う。案内されたのは本館から西洋館の廊下を通って行く花御殿一階の、天井が非常に高い温水暖房が入った部屋だった。
部屋で休憩した後、午後4時から始まる館内ツアーに参加した。集合場所の「クラッシクチャペル」で富士屋ホテルの歴史を一頻り、チャペルの説明に始り地階の廊下、そして旧ビリヤード場だったバー「ヴィクトリア」に入っての説明、最後に富士屋ホテルのメインダイニングの「ザ・フジヤ」での説明で約50分間程。補足説明でフロント前のロビーを富士屋ホテルではマジックルームというのは、かってここは6室の客室だったが、西洋館の増築で広いロビーが必要となりロビーに改装され、中国からマジシャンを呼んでカードマジックなどが行われていたことからこの呼び名になったそうだ。中央にあるのは当時の暖炉でそのまま残したもの。
登録有形文化財に指定されているのは、本館・西洋館・花御殿・食堂棟・そして旧御用邸の菊華荘の五箇所ですが、菊華荘の入口までは見たが内部は見られなかった。
本館は社寺建築を思わせる瓦葺屋根、唐破風の建築。西洋館の窓は全て上げ下げ方式、鎧戸つきの典型的な明治期の洋館。花御殿は千鳥破風付きの入母屋と校倉を模した壁が特徴的な建物。
一番の見どころは矢張り本館と食堂棟である。地階入口から絨毯の階段を昇ったフロント前辺りから見た光景は伝統あるホテルそのものである。特にあめ色に磨かれた大階段と階段踊り場、2階廊下から見た階段の光景には圧倒される重厚さがある。この階段横の旧フロントだった所にもケヤキの一枚板に彫られた見事な彫刻があった。他にも彫刻が各所に備えられている。階段の意匠としての他、飾りとして、置物としてなどいろんな用途に彫刻がある。圧巻はメインダイニング「ザ・フジヤ」の柱の基部に備えられた3代目社長山口正造氏を模したプレートが、従業員を見えない所に隠れて「監視しているぞ!!しっかり働け」と云っているようだった。
食堂棟のメインダイニング「ザ・フジヤ」は社寺建築を思わせる格天井で、そこには高山植物が描かれ、天井付近の壁には鳥と蝶が羽ばたき、その下には十二支を中心とした動物の彫刻が施されている。そして柱の下部には前述の山口正造氏のお面が睨みを効かしている。
西洋館は白を基調とした瀟洒な洋風の木造建物であり、泊った花御殿は鉄筋コンクリート造りの入母屋・破風・校倉造りなどの要素が入った独特な建物で、富士屋ホテルを代表する建物。
来訪した著名人は揚げれば切りがないが、説明にあったのは昭和7年にチャールズ・チャップリンと兄のシドニー、昭和12年にはヘレン・ケラーが花御殿に泊っている。
食事については夕食はメインダイニング「ザ・フジヤ」でフランス料理を、朝食はグリル「ウイステリア」でのバイキング料理であった。食後、出発するまでに裏の庭園を散策した。広い庭園は綺麗に整備され、茅葺屋根の水車小屋やガーデンチャペル、温室などが点在していた。
前回訪ねた時に利用したのは本館一階にあるラウンジ「オーキッド」でコーヒーを飲んだのであるが、今回はオーキッドの横を通るのみで、中に入ることは無かった。後で思うとチョット損をした感じだ。
(2018.03.05宿泊)

泊った花御殿の部屋(天井が高い)

本館の階段

本館の階段とその右側の旧フロントだった部分に一枚板に彫られた見事な彫刻が。

本館の階段

西洋館の階段

バー ヴィクトリア内部(館内ツアー時の撮影)

メインダイニングルーム 「ザ・フジヤ」

雨の花御殿

花御殿の建物

花御殿の上層階からの眺め

旧御用邸 別館「菊華荘」

本館の正面

西洋館

富士屋ホテルの入口部分を内側から見る
 
フロント前から入口部分に降りる階段の装飾

本館階段の手摺の意匠

フロント前の光景
 
マジックルーム(ロビー)
 
ザ・フジヤに向かう廊下

バー・ヴィクトリアの天井(旧ビリヤード場の名残が)

ザ・フジヤの天井(高山植物が描かれている)

 ザ・フジヤの営業中

マジックルーム(ロビー)にあるかっての暖炉
 
西洋館の一階廊下

かって使われていた大きな鍵札

本館の昔の姿

クラッシックチャペル前 
 
クラッシックチャペルが館内ツアーの集合場所

クラッシックチャペル

ラウンジ「オーキッド」を外から見る

ザ・フジヤを外から見ると

西洋館2階廊下

3代目社長山口正造氏の面
(ザ・フジヤの全ての柱の基部に
取り付けれれていた)

クラッシックチャペルにある大きなオルゴール

花御殿地階にある室内温泉プール

広い庭園内にあった水車小屋

花御殿地階の廊下にあるトイレの壁の意匠
 
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