花巻市
鉛温泉
藤三旅館
岩手県花巻市鉛中平75-1
電話 0198-25-2311

藤三旅館本館正面部分

本館正面部分の夕景

本館正面入り口

 花巻市街から北西16~17km程の所に花巻温泉郷があり、鉛温泉の一軒宿「藤三旅館」がある。
旅館所有者の藤井家の遠祖が600年ほど前に温泉を見つけ、天然風呂として使用していたのにはじまると云われる旅館である。藤三旅館には旅館部と湯治部があり、それぞれ建物が異なる。豊沢川に沿って、上流部から旅館の本館が、次いで旅館の新館が、そして湯治部の建物、そして旅館部の別邸「十三月」と続いている。
予約時にお願いしたのは本館の床の間のある部屋と頼んだのだが、通された部屋には本格的な床の間が無かったのは残念だった。しかし床の間のある部屋を見せてと頼むと、なんと隣の部屋が二間続きの立派な部屋で当日宿泊者が無いとのこと。また、小説「銀心中」を執筆するために田宮虎彦が滞在した部屋も見せて貰い、まあ部屋に対しては仕方ないかと諦める。
旅館到着時に他の宿泊客と一緒に、4ヶ所ある温泉の案内があり、入浴時間などの説明の他に、温泉内の写真は撮らないでとの説明があり、館内にもそのような注意書が掲示されている。多くの温泉宿に泊りに行くが、このような注意を受けたり、書いた文章を見るのは初めてと思う。でも、フロントでどうしても温泉の写真はダメですかと問うと、入浴者が居られない時は撮ってもらっていいですよとの返事。よかった よかった。
この宿に着いて最初に感じたのは、比較的若い男性の従業員が多く、部屋に案内してくれたのも若い男性従業員だった。宿泊客の多い繁昌している旅館なんだなあとの感想を持った。
木造三階建ての本館は昭和16年に建築され、外観は殆ど当時の姿を今に伝えているようだが、内部は部屋の床の間以外には建築当時の面影は余り残っていなかった。少し当時を感じられるのは入口部分の天井と奥の階段手摺だろうか。本館廊下に古い形式や意匠を期待したのだが、今風の現代的な意匠に改装されていた。
でも、評価をしたいのは泊まった部屋に例をとると、古い昔の窓はそのまま残して、その内側にアルミサッシュを付けて、防寒対策されていたこと、これによって外観は昔のままに保てることだ。
名物の立って入る温泉の「白猿の湯」は立っていても胸まで温泉がくる深い湯船の温泉。でも入浴者は浅い部分で座って入っておられた。
食事は食事処の「灯」という新館内の部屋で頂いた。多くの宿泊者が衝立で仕切られた部屋で歓談しながらの食事だが、私は一人寂しく頂くのは侘しいもの。宿泊者の少ない旅館の場合はこの時とばかりに、女将や従業員に旅館のことを聞くのだが、今日はそれも叶わなかった。
多くの従業員の中から当主と女将を上手く見つけられずに残念だったが、聞くと今の主人は12~13代目位らしいとのことですが、藤井家の本家筋でないのでハッキリとは判らないそうでした。
宿に着いた時には部屋から豊沢川の清流が見られたのですが、写真を撮り忘れ翌朝には濁流に変わっていたのは残念。夜中から朝方にかけて豪雨だったようで、朝食前もまだ強い雨が続いていたが、出発する頃には雨が止んでいてラッキーな出発となった。
(2017.9.11宿泊)

泊った部屋

泊った部屋から見た建物と濁流流れる豊沢川

手前の木造3階建てが本館、その奥にあるのが新館。
見えませんがその奥に湯治部の建物が豊沢川に沿って続く

3階の小説家田宮虎彦が執筆した部屋

二間続きの立派な部屋

二間続きの部屋、上の部屋と同じ

建物外観の角部屋部分

本館入口を内側から見る

玄関入口

名物の「白猿の湯」深い湯舟で立って入る珍しい温泉

黒光りする階段

廊下には古いタンス類が
 
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