古市
麻吉旅館
三重県伊勢市中之町109
 電話 0596-22-4101



階段の道から見た麻吉旅館

  江戸期から明治・大正期にかけて伊勢神宮参拝後の精進落としと称して、古市の歓楽街で遊ぶのが通常だったようで、随分賑わっていた。その中の建物の一つが残っている。それが今回訪ねた有形文化財の「麻吉旅館」である。
建物は階段道路の両側の傾斜地に複雑な構造で建っている。旅館玄関入口は傾斜道路に入る前の平地にあるが、入口玄関近くの駐車場で偶然に逢った女将から、下の入口から入ってくださいと云われ、石段を下りた所の下の入口から入った。
ここが4階の入口のようで、平坦な廊下をまっすぐに進み突き当りの「花月の間」に通された。
20畳敷の大きな部屋で2面に廻り縁を備えた見晴らしの素晴らしい部屋だった。
旅館に付いたのが午後3時半頃、食事が6時半からなので、旅館周りの散道策と、部屋でのんびりと外の風景や、下に見える伊勢自動車道を通る車を見て時間を過ごした。
旅館の建物構造は複雑すぎてとても説明できない。曲がった傾斜階段の道の両側に2階建て・3階建ての建物が複雑に建ち並ぶ。,階段道の下から眺めると異様な光景である。
説明によると、創業は嘉永4年(1851)とあるが、それ以前の天明年間(1781~8)の地図に記載があったり、文化3年(1808)に刊行された「東海道中膝栗毛」五編追加にも「麻吉」の名が見えているから、実際はそれよりも以前から営業していたようだ。

建物全体が6階建てのようになっている。正面入り口が5階部分で、私が入った入口は4階の入口。部屋は15室程あるが、客間として使っている部屋は6室とのこと。
一番下は3階建ての土蔵で外壁に「麻吉」との大きな表示が、伊勢自動車道から見えるように揚がっている。そして一番上は大広間のある3階建ての「聚遠楼」まで階段や廊下でつながる。
また、道を跨ぐ渡り廊下が4階部分に設置されているて、入口の反対側の建物は鉄筋コンクリート造りになっていた。夕食は部屋食になっていて、一品ずつ部屋まで運んで頂いての食事だったが、朝食は渡り廊下を渡った奥の、鉄筋コンクリート建物2階の食堂だった。

私が泊まった時には、女将とその旦那の二人で切り盛りされていて、当日の客はもう一組親子5人連れであった。この方たちとは、私が車に物を取りに行ったときに、5階の入口から案内されていて、どの部屋に行ったかは判らず、結局一度も顔を合わすこともなく、気配すらも無かったが、翌朝の食堂では5人分が用意されていた。
(2014.10.19宿泊)



泊まった部屋

複雑な構造の家屋郡

通学の小学生が階段の道を通っていた


泊まった部屋からの外の風景(前の道は伊勢自動車道)
 
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